そもそもはしご酒とは
よくお酒好きな人たちの間で口にされるはしご酒とは、どういう意味なのか、何となく分かっているようで分かっていない人も多いかと思われます。
はしご酒とは、店から店へとはしごをかけるように店を渡っていくことで、要するにたくさんの店を回ってお酒を飲むというスタイルです。
居酒屋は近年出来た店というイメージがありますが、歴史をさかのぼると江戸時代ごろから庶民の間で根付いていました。
江戸の町には飲み屋が集まっていた地域があったため、あっちの店で飲んではこっちの店へ移動してまた飲むといった具合に店から店へと渡り歩くことを、はしご酒と呼ぶようになったのです。
その後、一杯飲み屋や赤ちょうちん、大衆酒場といった言い方を経て、居酒屋という名前に落ち着いたことを考えると、現代社会ではしご酒が経験出来るのが居酒屋と言えます。
店に対する遠慮は無用
はしご酒の特徴は、軽く飲んでつまみを食べたら、すぐに次の店へ移動することです。
そのため、せっかく迎えてくれたのに、お酒の一杯とおつまみ一品だけで帰るのは申し訳ないという気になるでしょうが、これこそがはしご酒なのですから遠慮はいりません。
それを誰よりもよくわかっているのは居酒屋の店主で、むしろうれしいお客さんと言えます。
お酒と簡単なおつまみを食べるだけでも、お酒に付いているお通し代金はちゃっかり取りますので、はしご酒は一か所に腰を落ち着けるよりも、お通し分だけ高くつきます。
そのため、店としては短時間で効率的に稼がせてくれる、ありがたいお客さんなわけです。
お客の回転が速くなることにもつながりますので、遠慮は無用というのはこうした理由があるからなのです。
居酒屋が集まっている中からお気に入りを見つけるにも最適
お店としては、もうすでにほろ酔い加減で入ってきたお客さんを見たら、はしご酒のお客さんだなとわかってくれるでしょう。
そのため、注文もそれほど多くは期待していません。
たくさんの居酒屋が集まっている地域なら、あの店に行きたいけれど、こっちも気になるというのが人情で、それはすべての居酒屋で共通して理解してくれています。
むしろはしご酒をしたお客さんが、最終的に自分が経営する居酒屋を行きつけにしてくれたのなら、これほど名誉なことはありません。
はしご酒をしてここだというところを見つけたなら、一人で飲みに行ってカウンターに座り、あの店のあの料理はおいしかったなどと言った上で、でも、結局はここが一番だったから、ここを行きつけにしたよと厨房の料理担当に言ってみれば、思いがけないサービスが出て来たりしそうなところも、居酒屋のおもしろいところでしょう。